ある日とつぜん、肩に激痛が走る「石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)」。私自身、声を出すのもつらいほどの激痛を経験し、半年かけて少しずつ自分でセルフケアをしながら回復してきました。
この記事では、私が体験した発症から回復までの流れと、整骨院で教わった運動・YouTubeの活用法など、セルフケアをまとめます。同じ肩の痛みで困っている方の、少しでもヒントになればうれしいです。

※この記事は、私自身が体験したことをもとにした個人の体験談です。診断や治療の判断は症状によって異なり、回復のしかたにも個人差があります。強い痛みがあるときや不安なときは、自己判断せず整形外科などの医療機関を受診してください。
何気ない寝転び姿勢から――激痛のはじまり

きっかけは、ちょっとした姿勢でした。テレビを見るときに横向きに寝て、肘を曲げて手のひらに頭をのせる――そんな何気ない姿勢になったとき、肩が「ゴリッ」と変な音を立てて、少し痛みが出たのです。
「なんだろう?」と思い、肘を曲げたまま腕をくるくる回してみました。すると、回すほどにどんどん痛くなり、数日のうちに自分の腕の重みにすら耐えられなくなって、友達に三角巾で腕をつってもらうほどの痛みになりました。
その時点では声を出すのも痛くて、ささやくように指示をして、やり方を友達に伝えてやってもらったほどでした。
年末年始、病院もお休み。ソファにもたれることすらつらい日々

運の悪いことに、痛みが出たのは年末。病院もお休みの時期でした。
その時には何をしても痛くて、ソファに座っても、背もたれに寄りかかると、背もたれが腕を後ろから押してしまい、肩の関節が動いて激痛が走るのです。だから寄りかかることもできず、背すじを伸ばしてじっと座っているしかありませんでした。
危険な片手運転での通勤、ままならない着替え

職場は看護師が私一人しかいない環境で、簡単には休めません。通勤は車でしたが、右手がまったく使えないので、左手一本でハンドルを操作して通勤していました。歩くと振動が肩に響いて痛すぎるので、車でなければ通勤できなかったのです。
着替えようとすると激痛で、目の前が真っ白になって気絶しそうになることが、全部で4回ありました。横になりたくても、横になると腕が床に落ちて肩の関節が動き、もっと痛くなります。でも血圧も下がっていて、横になって休みたい――。そこで、ちょうど中間の45度くらいになるようにテーブルの脚に寄りかかって、なんとか耐えました。
結局、痛くて着替えられず、3週間同じ服のまま。顔も洗えませんでした。それでも「冬でよかった」と思いました。汗をかく季節でなかったのが、せめてもの救いでした。
3週間経って、動かさなければ気を失うことがないと分かりましたが、肌着を交換したいのに脱ぐことができなかったので、肌着は泣く泣く切って脱ぎました。代わりの肌着はしまむらで介護用のマジックテープが付いたものを買ってきて着ました。
病院でレントゲン、診断。そして麻酔なしの治療
病院に行けたのは、年が明けて発症から2週間ほど経ってからでした。レントゲンを撮って、石灰沈着性腱板炎と診断されました。
石灰を溶かすという薬を処方され、1週間飲みましたが、痛みは変わりませんでした。1週間後、「早く治したい」と医師に伝えたところ――ここから先は、私にとってかなりつらい体験でした。

はっきりした説明のないまま、無言でお医者さんが注射針を持って近づいてきたかと思うと、麻酔もなく肩の関節に注射針を刺されグリグリされて、「散らしておいたから…」と言われました。その声は聞こえたのですが、激痛のあまり血圧が下がって目の前が真っ暗になり、車椅子でベッドまで運ばれました。
冷や汗がだらだらしながら30分ほど休憩後なんとか回復、痛み止めを1日3回・1週間分処方され、車で帰宅。
大量の薬を出され「これからどれだけ痛くなるんだろう」と恐怖でしたが、不思議とそのあと痛みが強くなることはありませんでした。
むしろ日に日に痛みは楽になっていき、1週間後くらいには肘が5ミリほど動かせるようになり、たった5ミリでも改善の兆しが見えて嬉しかったです。
石灰を溶かす薬は飲んでも痛みが変わらなかったので、整形外科に通うのはやめることにしました。
しだいに変わってきた「痛みの原因」
そのあとは、整骨院に週1回ほど通いました。
最初のうちは、肩を温めるためにセーターを脱ごうとするだけで気持ちが悪くなり、数分かけてゆっくり脱いでいました。4回目くらいまでは毎回気持ちが悪くなりましたが、脱ぐスピードは少しずつ早くなっていきました。

毎回少しだけ肩を動かしてもらうと、肩まわりが軽くなります。このとき気づいたのは、この時期の痛みの原因は関節そのものというより、動かせないせいで筋肉がカチコチに固まっていることのようだ、ということでした。
「もう動かさなきゃ」――自分でできたセルフケア
整骨院に行った直後だけは楽になるものの、痛みがいつまでも変わりません。週2回に増やしても変化がなく、「整骨院で肩の関節を動かしてくれるんだから、もう安静の時期は終わったんだ。週に計1時間くらい動かしたところで、ほかの時間はじっとしているんだから治るわけがない。これからは自分で動かさないとダメだな」と思うようになりました。
整骨院で教わった「振り子運動(アイロン体操)」

整骨院の先生に教わったのが、振り子運動です。アイロンのような少し重さのあるものを使うと、腕の力を抜きやすくなります。
- 痛いほうの手に、アイロンなど少し重さのあるものを持ちます。
- 前かがみになって、腕を下にだらんと垂らします(力は抜きます)。
- 床と平行になるように、腕で円を描くようにグルグルと回します。
腕の重みと反動を利用して、肩の力を使わずに動かすのがコツです。無理に肩の筋肉で動かそうとしないのがポイントでした。
YouTubeで「痛い動きから」運動を探した
早く治したい一心で、私はYouTubeでもたくさんの運動を探しました。
このとき役立ったのが、「自分がどう動かすと痛いのか」で検索するという探し方です。たとえば「脇の下 背中より 筋肉 痛い」のように、痛む場所と動きをそのまま入れて調べました。

調べていくうちに「ここは大円筋(だいえんきん)・小円筋(しょうえんきん)という名前なんだ」などと、痛む部分の筋肉の名前がわかってきました。名前がわかると検索がぐっとしやすくなり、自分に合ったストレッチや運動の動画にたどり着きやすくなりました。
※痛みが強いうちは無理に動かさないでください。私も、安静が必要な時期を過ぎてから少しずつ動かすようにしました。動かす時期や方法は痛みの程度によって人それぞれです。不安なときは整形外科や整骨院で相談しながら進めると安心です。
真上まで腕が上がるまで半年。今はむしろ調子がいい
腕を完全に真上まで上げられるようになるまでには、半年かかりました。あんなに激痛だった肩ですが、今ではむしろ、痛くなる前よりも高く腕が上がるようになっています。
焦らず、安静の時期と動かす時期を見きわめながら、コツコツ続けたことが回復につながったのだと思います。

よくある質問(Q&A)
Q. 石灰沈着性腱板炎は自分で治せますか?
A. 私の場合は、整骨院や自分での運動で少しずつ楽になりましたが、回復のしかたには個人差があります。激痛のある急性期には安静が必要なこともあります。まずは整形外科を受診して、自分の状態を確認してもらうことをおすすめします。
Q. どのくらいで痛みは楽になりましたか?
A. 私は注射のあと1週間ほどで肘が少し動かせるようになり、腕が真上まで上がるまでには半年ほどかかりました。あくまで私の一例で、期間には個人差があります。
Q. 急に肩が激痛になったら、まず何をすればいいですか?
A. 無理に動かさず、つらいときは三角巾などで腕を支えて安静にし、できるだけ早く整形外科を受診してください。私は年末で受診が遅れ、とても苦労しました。
Q. 整骨院と整形外科、どちらに行けばいいですか?
A. まずは整形外科でレントゲンを撮って診断を受けるのが安心です。診断がついたうえで、状態に合わせて整骨院などを併用するかを考えるとよいと思います。
Q. 自分で運動を始めてもいい時期はいつですか?
A. 痛みが強い急性期は安静が基本です。私は安静の時期を過ぎてから少しずつ動かし始めました。時期の見きわめは個人差が大きいので、整形外科や整骨院で相談しながら進めると安心です。
まとめ
石灰沈着性腱板炎は、ある日とつぜん激痛におそわれる、本当につらい症状です。私自身、声も出せないほどの痛みと、着替えもできない日々を経験しました。
それでも、安静の時期を過ぎてから振り子運動やYouTubeで見つけた運動を少しずつ続けたことで、半年かけて腕が真上まで上がるまで回復できました。
同じ痛みで困っている方へ。つらいときは無理をせず、まずは整形外科を受診してくださいね。そのうえで、回復の段階に合わせて、できるセルフケアを少しずつ取り入れていけますように。

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